フリードリッヒ・ベッカー
ファルツ一の巨大協同組合の跡継ぎだった、ベッカー氏は、品質へのこだわりから1973年、
父の猛反対を押し切って独立します。当初は甘口や貴腐ワイン用甘いぶどうばかり栽培していた他の農家から
「ベッカーのぶどうは酸っぱくてまずい」と理解を得られぬままでしたが、わずか20年で、ワインにかける
不断の努力と情熱から、ドイツのピノ・ノワールのトップの1人に登り詰めました。今でもその逸話にちなんで、
エチケットには「ぶどうとキツネ」の童話の挿絵が使われています。06年には、ドイツで最も権威のあるワインガイド
「ゴーミヨ」で、今最も注目に値する醸造家に贈られる「ライジングスター」賞を受賞、さらに2004年~2012年に
かけて、同誌で9年連続最優秀赤ワイン賞を受賞し、他の醸造家の追随を許しません。2008年には洞爺湖サミットでも
ベッカーのピノ・ノワールが使用され、来賓の方々を唸らせたことも話題となりました。
醸造所のあるシュヴァイゲン村はファルツの最南端にあたり、ベッカー氏はなんとフランスとの国境を越えて畑
所有しています。20世紀前半の混乱から、幾度となく国境線が入れ替わったこの土地ならではの逸話です。
豊かな森に囲まれた地に、彼は森も所有し、ワインの熟成に使用される樽の3分の2は自己所有の森のオークを
使用しています。「世界一エレガントなワインを造る」ことを目標に掲げ、ワイン造りに命をかけるベッカーが醸す
ワインは果実味に溢れ、風味豊かながらも一貫してキレイな味わいです。また、化学肥料に頼らない、自然な農法を
実践しているのもベッカー醸造所の特徴の1つです。
醸造所のあるシュバイゲン村はファルツの最南端。この醸造所の面白いところは所有している畑がフランスとの国境をまたがっていることです。これは両国の歴史的背景によるものです。1871年までと1918~1940年まではフランス領。1945年からはカナダの占領軍統治下にありました。
ベッカー氏はこの複雑な事情から現在でもフランス領に多くの畑を所有しています。戦後の混乱期、1955年の独仏両国の特殊な法律によりフランス領で栽培されたぶどうを使用してもドイツワインとして販売することが可能となりました。
ベッカー氏は「自然と一体となり豊かなテロワールに感謝しブドウを栽培していれば、毎年驚かされるような美味しいワインは何もしなくてもできる」と説明します。
今でも暖炉を使用し、 「スローフード」を地でいっているような生活を送る彼ら ならではの果実味を生かしたエレガトなワインを造っています。
2006年にはフランスのゴーミヨ誌にて今最も注目に値する醸造家に贈られる「ライジングスター」賞も受賞しています!
権威あるドイツワインガイド「ゴー・ミォ」誌において、7年連続「最優秀赤ワイン賞」受賞。
特にベッカー氏の造るピノ・ノワールはドイツを飛び越え、アメリカ等で世界的な評価を受けています。
2011年 シュペートブルグンダー QbAトロッケン
ドイツ国内で赤ワインが高い評価を受けるフリードリッヒ・ベッカー醸造所。明るい色に親しみやすい甘いピノノワール特有の香り。しかしながら、しっかりとしたタンニンと味わいを持つ辛口の赤ワインです。
2007年 カマーベルグ シュペートブルグンダー グローセス・ゲヴェックス シュヴァイゲンナー・ゾンネンベルグ
「グローセス・ゲヴェックス」は、厳選された格付け畑に植えられた伝統的な葡萄を手摘みによる厳選収穫、低収量によって醸されたワインに対する呼称です。今やドイツでもトップのピノ・ノワール生産者として世界中で注目されているベッカー氏。超こだわりの姿勢も超一流。販売先はドイツ国内がほとんどで、輸出はオランダに少し実績があるのみで日本は初めてです。ピノ・ノワール愛好家必飲の一本。醸造のほとんどを地元ファルツ地方のオークで造られた木樽にて行い、無清澄、無ろ過にて瓶詰。石灰岩土壌から、スパイシーな香り、ミネラル豊かでしっかりとしたタンニンのフルボディの赤ワインです。 「カマーベルク」とは、以前ソンネンベルク畑に昔あった、さらに小区画の畑の名前です。高品質ワイン生産者グループ「V.D.P.」が新たに取り入れた呼称「グローセス・ゲヴェックス」クラスのワインに、彼らが特に思い入れのある「カマーベルク」畑の名を付けました。
樹齢約45年 収量25hl/ha。
100%バリック(新樽)で、18ヶ月熟成。年産3000本。
「カマーベルク」は1871年に祖先が購入したモノポール。