やっとお目にかかれました!
米で最も予約が難しいフレンチランドリー(ミシュラン3つ星)をはじめ、国内外でオンリストされる先は「超」が付く一流レストランや高級ホテルのみ。
一般的なショップでは到底手に入りません。
ファミリーで運営される造り手の中には、高い名声を博す一流レストランのオンリストのみを見据えたワイン造りを進めるケースがままあります。 特にスモールロット専門のピノノワール・プロデューサーに顕著な例ですが、その場合、一般的なワインショップのショーケースに並ぶことも稀であり、取扱いは概ね一般非買。ゆえに、大勢の目に留まるメジャー・メディアの評点や、特定の批評家による嗜好を気にする事なく、自身が信じる方向性を大切にすることができます。 |
ジョージもまさにそれに該当する例であり、名の浸透度に相反するかのように、ソムリエを中心としたレストラン関係者に大変高く評価されています。
北米においては、屈指の美食が集まるニューヨークにサンフランシスコを中心とするベイエリア、そしてラスヴェガスの格式高い有名レストランへオンリスト。
昨年(2012年)の輸入は、2004ヴィンテージ以来のことでした。
かつての販売時においては、東京・京橋のフレンチ“シェ・I”(ミシュラン星付)に、最高級中華料理店の“横浜H楼”など、国内においても、名立たる有名店ばかりが並んだものです。(伏字にて失礼 m(__)m )
▼ 比較試飲でDRCが完敗!?
ここに、国内屈指のワインコレクターとして、海外でも有名な某N氏から直に聞いた興味深い逸話があります。都内某所で催された比較試飲にて振舞われたジョージが、ロマネ・コンティさえも度々空けられる方々により、『傑出ヴィンテージのロマコンと双璧を成す。』と評されたそうです。更には、その場に並んだDRCとの優劣判定においては、全員の軍配がジョージに一致したとも。
■ ジョージ・ワインカンパニー オーナーのジョージ・レヴコフ(George Levkoff:画像下の左側)は、ある日、レストランで飲んだ1991年と1992年のウイリエムズ・セリエム “ロキオリ・ヴィンヤード”に深い感銘を受け、ピノノワール造りを志しました。 移住先をセリエムのお膝元、ソノマのヒールズバーグに定めた彼は、15年以上に渡るボンド・トレーダーの前歴を捨て、マンハッタン・ビーチの自宅を売却します。彼はまず、ワインシンクタンクの最先端、カリフォルニア大学デイヴィス校(UCデイヴィス)にて栽培学及び醸造学を修習します。その後、1999年から2001年までの間、収穫から醸造まで幅広くワイン造りに携わった先が憧れのセリエム。更に空き時間も有効に活用し、セリエムを興した一人であるバート・ウイリアムズ氏の娘さんがオーナーを務めるブローガン・セラーズにて、ワイン造りの研鑚を積みます。 フラワーズのCMR(キャンプ・ミーティングリッジ)、マルティネリ所有のブルースライド・リッジ(マーカッサンのパーセル含む)に並び、“ソノマ三大グラン・クリュ”として誉れ高いヴィンヤードに「ハーシュ」があります。(画像右) グロワーとして果実を供給する先には、キスラー、リトライ、クッチ、リオコ等の上級生産者ばかり… ワイン造りの研鑽を積む日々を送るジョージ・レヴコフは、ある日、ハーシュ・ヴィンヤードの当主であるデヴィッド・ハーシュと出会い、畑作業を手伝う機会を得ます。そして、やがてはその情熱が認められた時、ジョージ・レヴコフ氏は、デヴィッド・ハーシュ氏よりピノノワール生産者にとって羨望の果実を譲り受けることに成功します。 {デヴィッド・ハーシュが自らのプライベートブランド(ハーシュ・エステイト)を立ち上げた際、ジョージもその設備の使用を許されましたが、処女作となる2003年と2004年のワイン造りは外部ワイナリー(モーシン)にて。} |
▼ ジョージのワイン造りは、一貫して“UN”が念頭に置かれます。
【“unfined”:清澄剤を使わない】/【“unfiltered”:フィルターをかけない】/【“unpumped”:パンチングダウン(ビジャージュ)をしない】/【“unpushed”:プレスしない】/【“unadultered”:混ぜ物をしない】/【“unblend”:ブレンドをしない】/【“unracked”:澱引きをしない】
果汁は、自然の力を利用したグラヴィティフロー設計(重力式構造)の設備により得られたデリケートな風味に富むフリーランジュースのみ。
熟成にはフランソワフレールの新樽のみを用い、仕上がったワインは劣化を避ける為にも、樽から直接瓶詰めされます。
極力人の手が加わらぬハンドクラフト・ワインの象徴として、ジョージでは「ワイナリーで使われる電力は冷房のみ」を標榜しています。
▼ セレモニアル・ヴィンヤード (Ceremonial Vineyard)
「セレモニアルとは馴染みのない名前…..」と思いきや、2007ヴィンテージまでは“ナプシャル”と呼ばれていたヴィンヤードです。(Nuptial Vineyard) 数年前、弊店においては、インポーター倉庫に眠る半端ストックを販売したこともありました。
ここの所有者とは… “プチ・マーカッサン”ことマルティネリ!マルティネリの本拠地、テイスティングルームの前を走る道路(River Road)を隔てて目の前に広がる畑です。そして、開墾時のヴィンヤードマネジメントにあたった人物とはなんと…“本家マーカッサン”のヘレン・ターリー!女史のご主人であるジョンウェット・ローファー氏は、有能なヴィンヤード・マネージャーとしても知られますが、ヘレン・ターリーもまた、葡萄栽培に造詣の深い人物像との側面を併せ持ちます。
「量よりも質が優先」とは言わずもがなでしょう。一般的な畑に比べ、およそ3倍の密植が行われており、通常よりも低い樹高等を特色とします。
その味わいについて、ジョージ・レヴコフ氏からは次のように述べられます。
「チェリー、ストロベリー、ラズベリーと言ったクラシカルなロシアン・リヴァー・ヴァレーのフレーバーを得る為に、他の造り手よりも比較的に早めの収穫を心がけている。それにより、プラム、プルーン、レーズン様のフレーバーが表れる事、あるいはアルコール度数の上昇が回避されている。」
当店には、この「セレモニアル・ヴィンヤード 2011」が10本限定で入荷しました。(No.793〜803/1888)
まだまだ若いですが、滅多にお目にかかれない代物なので話のネタに飲んでみるのも面白いかも。